歯磨きをした時などに歯肉から出血があっても「少しくらい大丈夫だろう」「そのうち治るはず」と気にしない方もいらっしゃるでしょう。

しかし出血するということは、身体からの何らかのサインです。

痛みがなく出血の量も少量だと「大したことないだろう」と思いがちかもしれませんが、何事も早めの対策が大切です。この記事では、歯肉から出血する原因や対策について説明いたします。

歯肉から出血！放って置いても大丈夫？

歯科医院にいらっしゃる患者さまとお話していて、歯肉からの出血を放って置いてしまう方は少なくないと感じます。痛くもなく大した出血量でもないと、つい後回しにしてしまう気持ちはわからなくもありません。

しかし、歯肉が「健康であれば歯肉から出血はしない」はずです。

つまり出血するということは、何らかの原因があるということなのです。原因があるのであれば、なるべく早くその原因を取り除く必要があるでしょう。

なぜなら、そのままにしていることで、段々と症状が悪化していく可能性も十分に考えられるからです。虫歯と同じように、歯肉に出血が見られた場合も早めの対策をするようにしましょう。

なぜ歯肉から出血するの？考えられる原因

歯肉から出血する原因として考えられるのは、次のようなものです。

①歯周病になっている

歯肉炎や歯周炎になっている場合、歯肉が炎症を起こして出血します。歯肉から出血する原因のほとんどは歯周病だと言えるかもしれません。気が付いた時は少量の出血でも、歯周病が進行するにつれて出血量は増えていきます。そして、歯肉だけではなく顎の骨にまで影響を及ぼしてしまうのです。 また歯ブラシが上手く当たっていなかったり、喫煙していたりすると、本来は出血してもおかしくない状況でも、出血しないこともあります。出血するという自覚症状がないために、気が付いた時にはかなり歯周病が進行してしまっていた、ということも珍しくないのです。

②進行した虫歯がある

大きな虫歯があり、歯だけではなく歯肉に近い部分まで進行してしまうと、歯肉から出血することがあります。かなり虫歯が進行してしまっていると思われます。最悪、歯が残せなくなってしまう可能性もあるため、早急に歯科を受診しましょう。

③被せ物などが合っていない

銀歯などの被せ物が合っていない場合、その段差に磨き残しが生じやすくなります。被せ物と自分の歯の境目部分に歯垢が溜まり、それが原因となって歯肉炎を引き起こして出血することもあります。状況によっては、被せ物をきちんと合った形に作り替えることもあるでしょう。

④間違った歯磨き

歯磨きの力加減が強い場合など、歯肉を傷つけてしまって出血が見られることがあります。間違った歯磨きは、他にも歯肉退縮や知覚過敏などといった問題を引き起こしかねません。優しい力で磨くよう、日頃から注意してください。

⑤他の病気からくるもの

糖尿病や心臓病、がんなど、他の病気の徴候として歯肉の出血が起こる場合があります。特に糖尿病の場合、血糖値のコントロールと歯肉の状態は深く関係しています。血糖値とプラークコントロール、双方を管理していくことが必要です。 また、服用している薬の副作用による「薬物性歯肉増殖症」によって、出血することも考えられるでしょう。歯肉に副作用を起こす薬には、フェニトイン（てんかん）やカルシウム拮抗剤（高血圧症）、免疫抑制剤のシクロスポリンなどがあります。

歯肉からの出血が見られたら歯科を受診しましょう

ここまでで、歯肉から出血する時は何らかの原因があ流、ということがお分かりいただけたのではないでしょうか。歯周病でも虫歯でも、進行するほど治療は大変になり、手遅れになってしまう可能性も高くなります。

どちらも最終的には歯を失ってしまう病気です。歯肉からの出血に気が付いたら「そのうち治るだろう」と放置せず、できるだけ早く歯科医院で診てもらうようにしてください。 中には、歯周病ではなく他の病気が隠れている場合もあることを念頭において置きましょう。

丁寧なセルフケアと定期検診で予防を

今回は、歯肉から出血する原因についてお話しました。歯肉からの出血が少しだからといって、放って置くことにはリスクがあります。

原因は歯周病の場合がほとんどですが、歯周病は日頃のセルフケアと定期的な検診によって予防することが可能な病気です。そして、早期であれば早期であるほど歯肉へのダメージは少なく、改善も早くなります。

毎日の丁寧な歯磨きはもちろん、定期的に歯科医院でのクリーニングを受け、お口の健康を保つように心がけましょう。 定期検診では、お口の中をクリーニングしてもらうだけではなく、正しい歯磨きのコツやデンタルフロス・歯間ブラシの活用の仕方などもお伝えします！お気軽にご相談ください。